
巷は執着ばかりだ。
名声や権力ばかりではない。
ホントはあるのかないのかわからないモノ、愛、絆、、にも。
他との関係ばかりではない。
夢、希望、理想、志。
もっと言うと<生>。
心が囚われ、固まる。ひび割れたアスファルトのように。
「生前の好きだったモノ、大切なモノを入れてあげて下さい。」
棺桶を前にして言われる事だ。オレも何度か立ち会ったが、そこにその人がホントに大切にしたモノは入れる事が出来ない。
上記の抽象的対象は勿論、物質的な金、物もだ。
オレは時計が好きで、左手にしかつけないのに10個も持っているが、棺桶には入れるなよ、とオソラク言うだろう。
全ては<縁>。太陽が東から西に流れるように変わらないモノは一つもない。やってくるモノにも、去って行くモノにも、しがみつく事だけはしたくない。
それがオレに残された唯一の尊厳だと思っている。