newly graduated people wearing black academy gowns throwing hats up in the air

「学生解散!」、自由になる卒業はオレにとって特別な意味を持っていた。

卒業間近まで自衛官になるか民間に行くかで悩んでいて、バカなオレはそんなところだけ真面目に卒業してから就職活動を始めた。

どう生きていくのかも決めていなかったので、とりあえず民間で仕事している先輩に話しを聞いた。

「学部は?」

「電気工学です」

「それならコンピューターだな。」

「わかりました。」

外資系が給料がイイと聞いてIBMとユニバックとNCRに電話して事情を話した。

当たり前だがどこもとっくの昔に新卒採用を締め切っていたが。

しかし面談した全てで採用が出た。

「青栁さんは一般学生に比べて遅れてしまったが大丈夫。必ず追いつけますよ。」とNCRやIBMで言われたが、ビビってしまったオレは、

「ここまで来たら慌てても仕方ないですよ。ゆっくりいきましょう。入社後頑張ればなんとかなりますから。」と言ってくれた最もアタリの緩そうなユニバックに就職した。

今思えばホントにイイ時代だった。

入社後、社内報の新人紹介欄に、

「少林寺拳法で日本一になった。少林寺拳法は退がったら負けだ。仕事も退がらずやります。」と投稿したら随分先輩からかわいがられた。

今であれば、不採用は間違いなく、あの時代で良かった、とつくづく思う。