
不安定の中の安定は武道の極意だ。
「安定」だけでは「居着き」につながるし、「不安定」ではまさしく「不安定」だ。
「居着き」とは、心や身体がそこに捉われている、と理解していて、要するに何かに捉われている状態だ。静止と似てはいるが違う。静止は捉われていないので次の刹那には反応できる。
武道では「居着き」を最も警戒する。「居着き」は「隙」(スキ)に繋がるからだ。
「✖️✖️を攻めよう」と思った時点で心の「居着き」だし、「コウキタラコウセメヨウ」も勿論「居着き」という事になる。「体」(身体操作)も全く同じ事が言える。
そのため先ずは、型の中で居着かず、無駄が無い身体の使い方を稽古する。
その最終形が「自然体」となる。
そう考えると「自然」を追求するのが武道とも言える。
そして自然は「理」とも言えるし、「ゆらぎ」とも言える。「理」に逆らえば「無理」だし、どんなモノでも揺らいで無いモノは無い。
ゆらぎの中に馴染んで、不安定の中で安定を保ち、バランスしている。そのバランスがなんらかの要因で崩れた刹那に最小限の力で最大限の範囲で動ける事、理想はそんなイメージだ。
日常においても「居着き」ばかりで思考も行動も固まってしまう事が多いが、それでは「理」に逆らっている事になる。太陽が東から西に動いているのを見れば一目瞭然だ。
ゆらぎを楽しめるようになりたいと思う。