army authority drill instructor group

明日の見えない閉塞感と重力が何倍にもなった様な重圧感で脱力感が常に付き纏っていた高校生活は、防衛大学校着校によって“せーの”で変わってしまった。

着校した直後、先輩から“五分”と書いたメモを手渡され、頓珍漢なオレは5分後に集合だと思い、“さすがに軍隊だ、分刻みじゃねーか”と思ったものだ。

そのままPX(自衛隊内の売店のコト)の床屋に誘導され、“なんとかスポーツ刈りで”という交渉も無視され、有無も言わせず五分刈りにされた。

まさにダラケタ天国からジュウジツした地獄へ突き落とされた(それまでが天国だったわけでは勿論だが無い)という表現がピッタリだったが、しかしこれで、甘っちょろい考えが吹っ飛んだと言える。

最近ではあまり見ないが、オレが学生の頃は、不始末をしでかすと頭を丸めたものだ。

今になってやっとわかるが、グダグダしたキモチもダラダラしたカラダもこれで一気に切り替わり引き締まるのだ。しきたりのもつ力だ。

これ以降も、悪さをするたび坊主になった。

だから今でも気合いを入れなければならない時は、外見から入りたくなる。

しかし、さすがに今は、坊主にはしない。オレの顔で坊主にしたら、自衛隊内では違和感は全く無いが、シャバではビジネスにならない可能性が高いからだ。