man doing boxing

「勝てる」と思ったとしてもやってみなければわからないのが勝負の世界。

しかもバンタムで4団体統一、3階級制覇しているチャンピオンには様々なプレッシャー
がかかる。そんなプレッシャーは全く感じさせず熟練した技術戦を難なく制した。

武術的に井上のボクシングを見ると以下の3点が見てとれる。
①間合い(相手との距離のこと)
 先ずは間合いを制したことが勝因だ。フルトンも自分の間合いを熟知していたが
 井上はリーチでハンデキャップがあるにもかかわらず一足一拳の間合いを保った。
 (一足一拳とは自分が一歩踏み込めば当たる距離の事)
②拍子(リズムのこと)
 野球でも160kmのスピードボールばかりだと打たれるように武術でも拍子が重要になる。
 同じ拍子だと人は慣れてしまう。階段を駆け上がれるのは同じ高さだと脳が認識
 できるから。違う高さが混じっていたら駆け上がるのは数倍難しくなる。
 つまり攻撃のリズムが変わるので対処できなくなるのだ。
③攻撃力(パワー)
 井上の突き(パンチ)にはブレがない。身体全体が「極め」の際に統一体になり
 力みも緩みもなくなるので力が打突点の一点に集中しやすくなる。(グローブをつけていたとしても)
 同じ力で突かれても力が分散するのと、例えば針のように一点に集中するのとでは受けるダメージは全く違う。

8Rダウンを奪った左のボディから右のストレートでも、フルトンは「左のボディが見えなかった」と言ったが
無拍子、脱力しての攻撃は時として見えないものだ。こちらが脱力したと同時に
相手もそれに自然に呼応してスキができてしまう(武術の技術のひとつ)。

試合前、戦略を聞かれると、相手に応じて臨機応変に対応すると言っていた。
また、試合後の勝利者インタビューにおいても、試合を怪我のため延期してしまっことについてしっかり関係者
に詫びていた。

クレバーで堂々としたモノだった。

スーパーバンタム4団体統一まであと1試合か多くても2試合だろう。
まさに史上最高のチャンピオンだ。